こんにちは!2025年末からスタートした、空き家バンク活用プロジェクト。 大工さんのプロの技を教わりながら、自分たちで手を動かす「DIYリノベーション」の真っ最中です。
今回のテーマは、冬の古民家暮らしの生命線ともいえる「断熱」です。
なぜ古民家に断熱が必要なのか?
古民家や中古物件に住み始めて最初に直面する壁、それが「寒さ」です。 昔ながらの日本家屋は風通しが良く、夏は快適ですが、冬は「外にいるのと変わらないのでは?」と思うほど冷え込みます。
しかし、家全体の断熱を市販のグラスウールや断熱ボードで埋め尽くそうとすると、かなりのコストがかかってしまいます。せっかく安く手に入れた空き家なのに、改修費で予算オーバー…というのは避けたいところ。
そこで私たちが挑戦したのが、「もみ殻燻炭(くんたん)」を使ったゼロコスト・ゼロウェイストな断熱です。
実は今、日本の「家の断熱」が大きく変わっています
ここで少し真面目なお話を。実は2025年4月から、日本の家づくりは大きな転換点を迎えました。 これまで努力目標だった「省エネ基準」が義務化され、すべての新築住宅において「断熱等級4」をクリアしなければ家を建てることができなくなったのです。
国が「このレベルの断熱がないと、これからの省エネ社会では認められませんよ」という最低限のラインを法律で定めた、ということですね。
今回の古民家改修はどうなの?
「じゃあ、DIYで断熱材を自作している今回の家はどうなるの?」と心配になるかもしれませんが、結論から言うと、今回の改修工事において法律上の「等級4クリア」の義務はありません。
あくまで「新築」が対象のルールであること、そして今回は空き家バンクを活用した既存物件の改修であることが理由です。
「等級4」という基準のリアル
今回お世話になっている工務店の大工さんに相談したところ、興味深い話を聞けました。
「最近はさらに上の等級5や6という基準も出てきているけれど、国が定めた『等級4』という基準自体、実は日本の冬を過ごす上では十分に断熱効果を実感できる、しっかりとした性能なんだよ」
とのこと。 法律で決まったからやるのではなく、その基準が持つ「本質的な暖かさ」は目指す価値がある。だからこそ、私たちは市販の高級な断熱材を買い揃えるのではなく、「もみ殻燻炭」という知恵を使って、その十分な暖かさに自分たちの手で近づけていこうと決めたのです。
法的な縛りがないからこそ、自由な発想で、かつ確かな効果を狙いに行く。これぞDIYの醍醐味だと思いませんか?
「もみ殻燻炭」は断熱材として使えるのか?
「お米の殻を焼いたものが、本当に断熱材になるの?」と疑問に思うかもしれません。実は、理論的にも非常に理にかなっています。
- 空気の層が熱を遮る:もみ殻は内部に微細な空洞を持っており、これが熱を伝えにくい「空気の層」となります。
- 調湿・消臭効果:炭には湿気を吸放湿する性質があるため、壁の中の結露を防ぎ、古民家特有の匂いも抑えてくれます。
- 防虫・防腐:燻炭化することでアルカリ性になり、虫が寄りにくく、腐敗しにくい素材に変わります。
まさに、自然界から手に入る「天然の高性能断熱材」なんです。
それにしたって、本当に断熱効果があるのだろうか?どれくらいの量が必用なの?・・・というわけで各所から資料を集め、計算をしてみました。
(1)<床下版>断熱材の熱伝導率と必要厚
| 断熱材 | 熱伝導率(W/(m・K)) | 必要な厚さ(断熱等級4) |
|---|---|---|
| グラスウール(10K) | 0.050 | 110mm |
| 高性能グラスウール(24K) | 0.036 | 79.2mm |
| 押出法ポリスチレンフォーム | 0.040〜0.020 | 44mm〜88mm |
| セルローズファイバー | 0.040 | 88mm |
| もみ殻燻炭 | 0.073 | 160mm |
この表から、断熱等級4クラスの効果をもみ殻燻炭でもたらすには、160mm圧の量が必用ということが理論上では算出されました。
この家の床下をみると、根太+大引=175mm なので、大引の底に密着させるかたちで不織布(※)を貼り付けるというやり方を検討しています。
※不織布がたわまない、伸びないようにしないといけない。素材要検討。
(2)もみ殻の必要量
■施工箇所の平面広さ 約22畳=40平米
■広さ×厚み 40㎡×0.175m=7㎥
■ドラム缶1杯の容量 0.2㎥
↓7㎥÷0.2㎥
■もみ殻の必要量 ドラム缶35杯ぶんのもみ殻燻炭が必要量である!
・・・さあ、もみ殻燻炭をつくりましょう。。
実践!もみ殻燻炭づくりと仕込みの様子
近隣の農家さんから譲り受けた大量のもみ殻。これを自分たちで「燻炭」にしていきます。
- 焼く: 燻炭機に煙突を立てて、もみ殻をじっくりと炭化させます。火加減を見ながら、全体が真っ黒になるまで混ぜる作業は根気がいりますが、香ばしい香りに包まれる豊かな時間でもあります。
- 消火: 焼き上がったらしっかり密閉して消火。これを怠ると、後で再燃する可能性があるため、最も神経を使う工程です。
- 乾燥・充填: 消化した燻炭を、床下や壁の隙間にぎっしりと詰め込んでいきます。
市販の断熱材を「買う」のではなく、地域の資源を「加工して活かす」。 手間はかかりますが、ゴミを出さず、お財布にも優しいこの方法は、これからの時代の住まいづくりにぴったりだと実感しています。



変化を楽しむ家づくり
大工さんのアドバイスを受けつつ、自分たちの手で一歩ずつ進める改装工事。 「廃材や自然にあるものを工夫して取り入れる」という試みは、時に大変なこともありますが、それ以上に「家が育っていく感覚」を与えてくれます。
この断熱材が、次の冬にどれほどの温もりを届けてくれるのか。 今から完成が楽しみです!
(あとがき)
このブログでは、引き続き隠岐でのDIYリノベの様子を発信していきます。 「こんな資材も再利用できるのでは?」といったアイデアがあれば、ぜひ教えてくださいね!


