捨てないで!古民家の「土」は、100年先も使える宝物でした。
こんにちは!空き家リノベ現場からお届けします。 古民家を解体していると、必ずと言っていいほど大量に出てくるものがあります。それは、竹小舞(たけこまい)に塗られた「古い土壁の屑」です。
通常、これは「ガレキ」として捨てられ、処分費用がかかる「産業廃棄物」になってしまいます。でも、ちょっと待ってください。その土、実は何度でも蘇る魔法の素材なんです。
100年前の土を、現代の壁に。
今回私たちが挑戦したのは、「土壁の再生」です。 まずは大まかな流れを。
壁材のレシピ
- 濾す: 剥がれ落ちた土を、5厘(約1.5mm)の網で濾していきます。
- 混ぜる: そこに水と、新しい「切りワラスサ」、そして粘りを出すための新しい土(中練り土)、砂を体積として1:1:1:1の割り合いで混ぜ合わせます。
100年前に誰かが塗った土が、令和の今、再び私たちの手で壁に戻っていく。この「時間の循環」を感じられるのは、古民家DIYならではの贅沢です。
「わらすさ」について
土壁専用に細かく刻んだものが必用です。なんと現在全国でもこれを専門で作っている会社は2社しかないそうで、なんとか見つけ出して購入することができました。製造元の方に直接交渉して、2kgで1500円という価格でした。
「中練り土」について
粘り気を出すために活用した中練り土は、「近畿壁材」さんから購入をさせていただきました。
壁づくりにかんする知識も問い合わせた際にアドバイスいただき、とても親切な対応に助けられました。
>>近畿壁材さんのwebサイトへ
壁の土台作りレシピ
- 剥がす:今回の施工箇所は砂壁だったので、まず砂壁を剥がしていきます。スプレーとローラーを使って壁面を湿らせ、スクレイパーを使って剥がしていきます。(アスベストが含まれていないか事前に確認することをお勧めしま)
- シーラーを塗る: アク止めとして、シーラーを塗ります。
- 凹凸をつくる:壁の持ちをよくするために、ひっかかりとなる凹凸を作ります。メッシュテープという市販品を購入する手段もありますが、高くつくので今回は「木工ボンド・水・砂」を混ぜたものを塗り付けるという手段をとりました。
実験的な方法も含んでいますが、このやりかたでおそらく10年はもつ土壁をつくることができるはず。土台が整ったら、いよいよ塗り付けです!



土壁がもたらす「天然のエアコン」効果
なぜ手間をかけてまで土壁にこだわるのか。それは、土壁には現代のビニールクロスにはない素晴らしい機能があるからです。
- 蓄熱性能: 前回の記事で紹介した「もみ殻燻炭」が熱を遮るのに対し、土壁は熱を蓄えます。冬は日中の暖かさを溜め込み、夜にゆっくり放出してくれます。
- 最強の調湿作用: 湿度の高い島暮らしにおいて、土壁は「呼吸」して湿気を吸い取ってくれます。カビ対策にもこれ以上の素材はありません。
- 自然素材が作り出す空間美:古い家の雰囲気に土壁を施すことで、なんといっても雰囲気がグっと上質になります。天然素材の土壁にしか演出できない空間美。これがなりよりも一番のメリットといえるでしょう!
ゼロコスト・ゼロウェイストの極み
市販の石膏ボードや壁紙を買えば、運搬費も材料費もかかります。しかし、目の前にある土を再利用すれば、材料費は実質ゼロ。
ゴミを減らし、地域の資源を使い切り、かつ性能も高い。 大工さんと「昔の人は本当によく考えて作ってるよね」と感心しながら、泥だらけになって壁を塗る時間は、何にも代えがたい豊かな経験です。





